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追伸 あなたへ

私の微笑み

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彼はずっとずっと昔、私が恋した人だった。自分の親と変わらないほどひどく歳の離れた人で、私が惹かれたのは、彼が言った「好きだ」という言葉よりも、そんな年齢と彼の地位にだったかもしれない。
それだけ年上の人が、自分のような子供を相手にしてくれるところが私にはとても魅力的に思えた。
しかし、つきあっていくうちに、彼は実際にはとても弱く、私よりも若い考えを持っていることが分かってきた。
彼はそのことについて「おまえの方が俺よりも大人だから…」と笑っていた。

昨日、たまたまその彼に会い、お茶でも飲もうということになった。
他愛ない話を数時間し、帰る段になった時、彼は言った。
「あなたのことは私が一番よく分かってる。けど、分かっているのと理解するというのは違うのって言ったこと、覚えてるか?その言葉が俺の心の中に今もずっと残ってる」
「うん、覚えてるよ」
「今になってやっと分かるようになったんだ。今更分かってももう遅いけどね」
「そうだね」
私は曖昧な相づちだけうって微笑んだけど、彼はまだ私の微笑みとあのときの言葉の本当の意味は分かっていない。
by ps_for_you | 2011-02-23 21:54