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追伸 あなたへ

勝てないレース

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昔、ディーラーで営業をしていた。
当時まだ女性の営業は少なく、いても営業補佐だったり営業手伝いだったりで、実際に営業から納車まで全てを行う女性営業は少なかった。
私が勤めていたディーラーはまだ出来て年数も浅く、そういう面では女性の営業も一営業として頑張って欲しいという方針だった。
私は元々車がとても好きだったので、ある程度の知識はあったが、仕事となると半端な知識では駄目だと思い、他の男性営業の何倍も勉強をした。
休みになると他のディーラーに行って営業の仕方を偵察に行ったり、車雑誌を買って新しい車や他車の研究をした。

店に来るお客さんは私を見て言う。
「営業を呼んで」
「私が営業です。何かお伺いしましょうか?」
と答えると、女には答えられないだろうというような意地悪な質問をしてくる客もいたが、私はそれにちゃんと答えて来た。
そのことに対して気分を悪くする客もいれば、逆に私を信頼してくれる客もいた。

しかしどうにもならなかったのが
私が営業だと答えても
「男の営業はいないの?」
と返してくる客だ。
仕方ないので呼んで来た男の営業は、客からの質問にしどろもどろにしか答えられない。
私だったら答えられるのに、とコーヒーを出しながらイライラする。
そんなことがよくあった。

「女はいいよな、ニッコリ笑っていれば男の客は嬉しそうに車を買ってくれるんだから」
という嫌みな男性の営業もいたが、実際高い買い物をするのに私ごときの笑顔で買ってくれたら、苦労はしない。
けど、私は営業という仕事がとても好きだった。
負けレースも多かったけど、それでも営業が好きだった。
大好きだった営業を辞めたのもまた理不尽な理由だったのだけど、それはまた今度(笑)
by ps_for_you | 2010-07-05 16:40