変わらない景色
当時私が住んでいた家は電車の駅から歩いて30分以上かかるような場所にあった。
彼が駅から送ってくれることになったとき、私は初めてその距離の長さに感謝した。
酔っていた私たちはつまらない話を延々大笑いしながら歩いた。
その日まで、私は彼のことが大嫌いで近寄りたくない人の一人だった。
実は彼も私に対して同じ感情を抱いていたことを後で知ったのだけど。
でも、その日以来、私たちの心は急速に近づき、彼は私の中で忘れられない人に変わった。
私は彼と別れてすぐ、その当時住んでいた場所から少し離れたところに引っ越した。
だからこの道を歩くのも久しぶりだった。
ただ歩くと言う動作で涙が零れるなんていう場所は、他にはないだろう。
by ps_for_you
| 2011-10-06 22:45