追伸 あなたへ

覚えているのは

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彼に会うのは、数ヶ月ぶりのことだった。
忙しくなるとは聞いていたけど、本当にこんなにも長く会えないとは思っていなかった。

久しぶりに会って喫茶店に行き、コーヒーを注文した。
話したいことは山ほどあったはずなのに、連絡をくれないことをなじりたいはずなのに、そして会いたかったと言いたいはずなのに、私は一言も彼と話せなかった。

「じゃあ、またね。俺は先に出るけど、おまえはゆっくりしていけよ」
そう言って彼は去っていった。
私が覚えているのは、話せなかったあいだに真上から眺めていたコーヒーカップの中と、去っていく彼の後ろ姿だけ。

今もその姿は目を閉じれば思い出せる。
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by ps_for_you | 2010-07-27 16:34